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日本産淡水エビの分布

 

日本の淡水に棲むエビのおおまかな分布図です。
web上の情報などから考えて、図にしてみました
あくまでおおよそのイメージです。
(細かく見ても意味ないです(^^;)

北海道⇒在来種はスジエビのみが分布しているようですが、
近年、観賞用か釣り餌用の販売名“ミナミヌマエビ”(外国種シナヌマエビと思われる)や、
ミゾレヌマエビとして販売されるヌマエビ南部群(旧ヌマエビ小卵型)が
各地で採集される傾向にあるらしい。

本州中部以北⇒ヌマエビ北部-中部群(旧ヌカエビ・旧ヌマエビ大卵型)、スジエビ、テナガエビ。
関東や東北地方ではこの三種類のみなのが普通。
黒潮の当たる南部沿岸地域では各種小卵型が捕れる場合も意外と多い。

本州中部以南⇒(主に黒潮によって小卵型のゾエアが運ばれて定着する地域)
ヤマトヌマエビ、ミゾレヌマエビ、ヌマエビ南部群(旧ヌマエビ小卵型)などの小卵型ヌマエビ類各種、
ミナミテナガエビ、ヒラテテナガエビなどの小卵型テナガエビ類、そして全国区のスジエビ、テナガエビ。

ミナミヌマエビ⇒ミナミヌマエビはゾエア期がないので黒潮に乗れず、陸路を静岡の焼津まで。
近年、本来居ないはずの日本各地で“ミナミヌマエビっぽいエビ”が多数発見されているらしい。
“ミナミヌマエビ”“ブツエビ”として売っているエビは個人的観測ではほぼ全部シナヌマエビに代表される外来種。
釣り餌の残り、水槽で殖え過ぎたシナヌマエビ類が放流されている可能性が大きそう。

※「自分の住んでいる地域には、ミナミヌマエビが生息しているから、
自宅の水槽で殖え過ぎたミナミヌマエビを近所の川や池に逃がしてもいい」はナンセンス。
売っているミナミヌマエビは、まず外国産シナヌマエビだと疑った方が賢明ですから、
放流・遺棄して良いか否か云々の遥か彼方の問題です。
※一度飼ったエビは、採集・購入を問わず、水槽内で“消費”するのが賢明。生態系と繋がないことがだいじです。
地球のふところの底が見えてしまっている現在、こんなジャンルでも環境に余計な負荷を掛けないことは重要です。
※洪水や氾濫でつながる河川・湖沼氾濫原という)以外に生息する同種は、同種でも「別種」と考えるのが無難です。
シナヌマエビの仲間は近縁なため、日本産種と交雑してしまう可能性が大きいと思われます。


ミナミヌマエビの自然分布は、諸々の情報を統合すると、
北緯35°以南の本州(東限は静岡県の焼津)と、四国、九州になるようです。
“南ヌマエビ”ですから、中部や北部には分布しない、
名前とよく一致した分かりやすい分布といえそうです。
(近年の密放流分布は含んでいません)
“北緯35°以南”という記述は本でよく見かける記述ですが、
ちょうど、そのライン上に中国地方の山地が重なっているからと思います。

(鳥取県にも昔から生息していたという情報を戴きました
追記2007・05・26
立体地図
http://www.trust-system.co.jp/japancalender.htm
屏風のように広がる中国地方の山脈で北進は阻まれているようだ。

※琵琶湖にも昔は確認されたらしいですが、
近年見られるのは遺棄されたシナヌマエビなようです。
密放流されたミナミヌマエビ・シナヌマエビは全国的に確認される傾向にあるようです。
人工密度に比例して各地で確認されていくものと思います。
オウミア No.80
http://www.lbri.go.jp/omia/80/omia80.htm
ペット史上空前の「放され上手」
人の住む所、“ミナミヌマエビ”あり。
恐ろしい話
http://osampo1.hp.infoseek.co.jp/shrimp/kowai.html

※沖縄の淡水エビに関してはこちらが非常に詳しいです。
琉球淡水エビ

 

※あくまで、日本の淡水エビの生息分布を分かり易く把握する為の個人的なイメージです。
「生息している・していない」の保証はありません。


本州中部以南って?追記2006/10/26)

淡水エビの分布を調べていると必ず御目に掛かる「本州中部以南」という言葉があります。
各所で、まるでお決まりの呪文か念仏の様に唱えられていますが、
これほど御利益のない言葉もないのではないかと思うほど具体像が浮かびません。

そもそも中部ってどこでしょう? 中部地方? 中部山岳地帯?
「以南」「以北」という分け方をするくらいですから、
必ずその分け目である中部以南の「以」がどこかにあるはずですが、それすら分かりません。

いろいろ探していると、ココ↓にヒントが書いてありました。
http://www2.fish-u.ac.jp/LAIZ/topics/tansui/plate2.html

『本州中部:太平洋側では千葉〜静岡,日本海側では新潟〜島根,に分布の縁辺があることを示してしている.』

これ以外に手掛かりになる情報はなさそうです。
千葉〜静岡、新潟〜島根というのは恐らく「県」なのでしょう。

う〜ん。図にすると見事に分からない(^^;
そのエビの分布の縁辺が、この赤い線にある(おそらく日本海側の線と太平洋側の線を結ぶのでしょう)
場合を「本州中部」と呼ぶらしいですが、
これは極めてアバウトな用語だなぁという印象。
この「本州中部以南」という言葉は、
もともと各種の具体的な分布を示さないのが前提である事が分かります。

こんなに幅が広いのではなんでも含まれてしまいそうですし、
逆に言うと、そこまで分布していない種類にも広い生息地を与えてしまう表現です。
特に日本海側は、本州の半分以上が「本州中部」に含まれてしまいます。
太平洋側は、フォッサマグナ西縁の糸魚川-静岡構造線を越え、富士山を越え、
箱根を越え、東京湾を跨いで千葉までという、起伏の激しい世界が一個になったような縁辺です。
「分布:日本」とか「分布:本州」というよりはマシな程度で、
下手をすると分布していない地域にまで分布しているという誤解を与えかねません。

しかも、これだと内陸の「中部地方」の分布がまるで分かりません。

「本州中部以南」っていう言葉、
中部っていう割りには
中部地方の詳しい分布には縁が薄そう

そこで、上記のフォッサマグナの西縁を加えてみます。
新潟は糸魚川で切り、静岡は富士川で切り、
さらに千葉は、黒潮が当たる南西部のみにします。

こうするとかなり具体像が見えます。(日本海側の意味があまりない感じですが)
これを「本州中部以南」というなら分からなくもないですが、
しかし、これでも「本州中部以北」に生息するとされるヌカエビは、
愛知に棲んでいたらおかしくなってしまいますし、
日本海側は島根県に棲んでいても良い事になってしまいます。
さらに、「本州中部以南」に生息するとされるミナミヌマエビは、
千葉県や神奈川に自然分布している事になってしまいます。
これではあまりに的確性を欠きすぎな気がします。


淡水エビ界で使われる「本州中部」とは、最大で、こういう幅を持った地域を指しそうだ。
延々と使われてきた御馴染みの「分布域を示す言葉」であるにもかかわらず、
エビの分布がさっぱり分からなかった理由が良く分かる。

「本州中部以南」っていう言葉、
各種の細かい分布を完全に熟知していて、
空で言えるような人たちが一般向けに使う分には便利なのかもしれませんが、
詳しく知らない一般人が真似して使用しないほうが無難な表現という印象を持ちます。
少なくとも個人的には使用に耐えない曖昧さですし、
知りたい情報はなんら与えてくれない言葉です(^^;


例えば、こんな分布をする二種類のエビがいたとすると、
これはどちらも「本州中部以南に分布」ということになるのかな。
(逆に白い側が中部以北になる)
すごい幅(^^;

 

日本の淡水エビの分布の参考になる本

『淡水魚 (ヤマケイポケットガイド17)ピーシーズ 山と渓谷社』
“本州中部以南”で誤魔化さずに、かなり具体的な地域名が載っています。
※エビは巻末数ページのみですが(^^;。揃えさせる魔力を持つシリーズ。


2006/10/26 中部以南追記
2007/09/01 更新


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