ロックシュリンプの飼い方
5.底面が母なる流れ
水流から餌が貰えず、空腹になって歩き回るようになったロックシュリンプは、
逆に言うと、「何でも食べる状態にある」わけですから、
その行動から簡単な餌やりの方法が見えてきます。
何の事はない、「餌を水槽の底にばら撒いておく」だけでいいのです。
彼等がそのクマデのような「手」で掴めて、なおかつ口元で砕いて食べる必要がない
程度の大きさの餌を水槽の底面に撒いておけばよいのです。
彼等のあまりに特異な形状の「手」や採餌方法にまどわされて遠回りしましたが、
基本中の基本のようなやりかたでよかったわけです。
しかし、通常の熱帯魚飼育の水槽では、大磯砂のような底砂が敷いてあるのが普通です。
大磯砂などが敷いてあると、彼等のためにいくら餌を撒いても、
彼らがそのクマデのような不器用な「手」で餌を集めようとするたびに、
小石と小石の間に餌が落ちて挟まり、彼等の口にはなかなか入りません。
さらに小石の間に落ちた餌は、やがて腐って水質を悪くします。
ここからが「添え物を主役として飼う」ということになるわけですが、
ロックシュリンプの為には餌取りの障害でしかない底砂は全部取り除いてしまいましょう。
もちろん、新しくロックシュリンプのために水槽を一個用意してもOKです。
その場合も、当然、底砂は一切入れません。
この給餌方法の場合、彼等は四つの「手」を使って少しずつ前進しながら餌を拾って
食べていきます。
一箇所にたくさん置いておけばいいというものではないようで、底面にうっすらと細かい
餌が均一に撒かれた状態の方が無理なく食事できるようです。
川の流れから餌を貰っている時も、一度にどっさりという事はないでしょうから、
少しずつ、少しずつ、継続的に食べるのが彼等には合っているようです。
ですから底面は出来るだけ広く取り、餌の量はあまり多くなく「うっすらと」がいいのです。
つまり、水槽の底面が自然界での「川の流れ」の役割を果たすわけです。
水槽の底面に、偶然に手に入る程度の量の餌を、継続的に与えてもらうわけです。
川の流れと違うのは、彼等自身が「歩き回る」ということだけです。
しかし、この程度の違いは彼等にはどうと言うこともないようで、
ある程度おなかがいっぱいになると、手の運びが鈍くなり、何事もないように休みます。
「手」を水流に向けているか、地面に向けているかの違いくらいなわけですから、
それほどの問題にもならないのは当然かもしれません。
餌さえ食べられればいいようで、彼等自身にも方法にこだわる素振りは見えません。
彼等の進化のルーツをたどっていけば、胸脚の毛の短い大柄なヤマトヌマエビといった
感じだったのでしょう。
餌の採り方にかなりな特化は見られますが、特化しきったわけではないので助かりました。
とにかく餌を食べてもらえなければ、生物は飼育できませんから、
この「餌を水槽の底に撒く」ということがロックシュリンプの飼育の中心になります。
水槽に強い流れは必要ありません。
強い流れがあると、彼等はまた例のお得意のポーズをして餌を待ち始めますから、
彼らに時間の無駄と失望、余計な体力の消耗、を与えるだけになってしまいます。
さらに、強い水流によって細かい餌が巻き上がったり、一箇所に集まったりしてしまう
ため、水槽の底面の広い範囲に均一に餌を撒くことが妨げられてしまいます。
餌の面において、自然界でロックシュリンプを育んできた水流は、「水槽」という
小さな限られた人工環境においては、逆に彼等を衰弱させるものにしかならないのです。
これは彼等の成育環境や形態、採餌行動からすると、かなりな逆転の発想になりますが、
水槽で彼等を飼う場合には、強い水流は与えないほうがよいのです。
彼等にとっての「母なる流れ」は水槽の底面に担って貰いましょう。
(2002年8月8日作成) 岩