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甲殻類ですから・・・



「水槽内の浮遊物を食べているから、特に餌は与えなくてもよい」
と、言われて久しいロックシュリンプ。
しかし、いくら山の最上流部付近で、じっと流れを見据えているからといって、
仙人のように霞を食べて生きていられる訳もありません。
最近では、馴染み深い茶色の東南アジア産ロックシュリンプ以外にも、
青緑色のアフリカン・ロックシュリンプという15cmは優に越す
巨漢の種類が入荷されるようになりました。
常識的に考えただけでも、あの巨体に無給餌は有り得ません。
濾過の効いた綺麗な水を積極的に維持している水槽では、そこに含まれる程度の有機物で、
あの巨体を養っていくのは更に難しそうです。

ザリガニに代表される様に甲殻類は基本的に悪食です。
特にウチダザリガニやモクズガニなどは「さっき与えたのに〜」と思うほど、すぐに腹を減らし、
流木やスポンジフィルターにまで噛り付いて食べ始めます。
仕方ないので、再度エサを与えると、大喜びでひっくり返らんばかりに飛びつきます。
ところが、面倒なので大きな肉の塊などをどっさり与えておくと、大量に残したままになるんですね。
物凄い飛び付き方なので、よほど腹が減っているんだと、小赤などの大きめの生き餌を与えても、
捕まえる勢いほどの食欲は続かず、内蔵や頭の部分などを齧った程度で、ほとんど残します。
つまり彼等は、「過不足のない量の餌を、常に食べていたい」なんですね。
人間なら糖尿病になりそうですが、彼等にはこれが普通なわけです。
ヤマトヌマエビを水槽のコケ取りに使う原理も、この「常に食べ続ける」性格を使っているわけです。
「常に食べ続けたい」のではなく、「食べ続けないと死んじゃう」から、食べ続けるのでしょう。
胃のような「貯食システム」があまり発達していないからなのだと思います。

ですから、エビへの餌やりは「常時食べ続ける」ことを基本に考えることになります。
で、ロックシュリンプですが、彼等は小型のザリガニほどは楽にある体格です。
おおまかな体のつくりも大差ないです。
もし、ザリガニ類の「はさみあし」とロック類のフサフサの第一・第二胸脚をもいだ両者を、
横に並べられたら、すぐには区別がつかないかもしれません。
内蔵のつくり、真っ直ぐな腸の長さも大差ないとしか思えません。
それなのにロックシュリンプだけは甲殻類のなかで特別に小食というのは考え難い話です。


絶食ダブルパンチ

ヌマエビ類はエサを制限すると、その量に対応して、
成長速度をある程度遅らせる事はできるようです。(参考⇒
無給餌飼育で真っ赤っか
しかし、これはあの小さな小さなクリスタルレッドだから可能だっただけでしょう。
水草やガラス面などの基質から
餌を直接むしり取ることができる種類のエビだからこそでもあると思います。
CRSに比べロックシュリンプは体がはるかに巨大なのに、
その過適応した胸脚では、付着しているコケや微生物、
砂の間の有機物をつまみ取る事は出来ませんので、飢えはさらに深刻になります。

ロックシュリンプの受動的な採餌行動は、見るからにエネルギー消費が少なく、
他のエビよりも無給餌に対する耐性は高そうにも思えますが、
実際にはそうでもありませんでした。
もっとも、水の中にエサとなる浮遊物・有機物が全く無いという事は考え難いですから、
水量の多い大水槽で、粗い濾過材を使い、自然度を高めれば無給餌も可能かもしれません。
しかし、これには、かなりな不確実性が生じます。
頻繁な水換えと高性能な濾過、そして粗くて厚い底床が揃うと、
水は磨き上げられ、完全な無給餌になり兼ねません。
意識的に給餌をしても、特化し過ぎた胸脚が採餌行動の制限を多く生じさせる為、
上記のような水槽内では、手が不自由、あるいは不器用な生き物となってしまいがちで、
水流に餌が無い上に、底面の餌も拾えないという「絶食ダブルパンチ」を食らいやすい生き物となります。
生きているだけでも消費する代謝を上回る摂取量が無ければ当然衰弱し、餓死するでしょう。
死に至らなくとも、甲羅にコケが生えてしまうのではと思えるほどに成長速度が落ちてしまう状態が、
彼等にとって健康的な生活であるとは到底思えません。
“餌”という大きな柱に不確実性が生じると、生き物の飼育は極めて難しいものになってしまいます。
与えた量や摂取量がしっかり把握できる方が、はるかに管理は楽です。

ロックシュリンプの場合、その興味を引く妙な餌の取り方が強調され過ぎた為、
その行動から推測された実質を損なった餌の与え方が、
仮の給餌方法の常識として定着しているだけの話だと思います。
彼等がしっかりたくさん食べられる与え方にしたところ、
その成長スピードは、ザリガニのそれと大差ないほど早い事が分かりました。
確実な与え方が出来て、満ち足りた食生活を送らせる事が出来れば、
ザリガニとも似たような生き物ですから、成長速度に大きな差は無くなるようです。

プレコの餌に海老団子になって群がっているビーシュリンプや、
水面に浮かんだフレークフードを逆さまになって大騒ぎで食べているスジエビ、
刺身のカケラにむしゃぶりついているザリガニ・・・。
彼等と同じ様にロックシュリンプも十分に餌を与えてもらって差し支えは無いようですから、
餓死〜最高の成長スピードの間で、できるだけベストな成長スピードに近づけたいものです。
飼育に強い水の流れは必要ありませんが、
腸の中の餌の流れは大河の如くタップリの方がいいでしょう。


2003・10・27 

 


2003/12/25 更新


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