並立し難い三要素
物理濾過と浮遊物は両立しない
ロックシュリンプ飼育にも色々な手間の掛かる方法や、
個人的には一般的とは思えない敷居の高い方法があります。
例えば、水槽内に浮遊するミジンコ等の微生物を多く発生させ、
これを餌にする方法なども考えられますが、
微生物はそう簡単に思うような殖え方をしてはくれないものです。
これでは個々人の管理する個々の水槽によって、飼える場合、飼えない場合が生じてしまいます。
当然ながら立ち上げ初期の水槽や、水換えの頻繁な水槽では飼えなくなってしまいます。
しかもミジンコが殖える富栄養な水質と、
渓流域に生息すると思われるロックシュリンプの好む水質が一致するとは到底思えません。
微生物の多い水槽は、往々にしてロックシュリンプが嫌う古い濃い水になってしまうものです。
さらに、たとえ培養用の水槽や容器を用意してミジンコを殖やして与えたとしても、
のん気なロック君達の手の中に入り、口の中に入っていく量が、労力に見合うものなのかどうかは疑問です。
安価ではないブラインシュリンプを孵化や洗浄の手間を掛けて与える方法も同様でしょう。
しかもこれらの方法だと、普通に濾過装置の稼動する水槽の場合、そのほとんどが濾材へと一直線でしょう。
物理濾過がばっちり効いた水槽であればあるほど、
ロックシュリンプは、「水清ければ、魚棲まず」を、もろに食らってしまう事になります。
ロックシュリンプが濾過器の出水口からの流れに手を一杯に広げ、餌を待っている姿を見れば、
誰だって「強い流れが大好きで、飼育にも必要なんだ」と思うのが普通でしょう(私もその一人でした)。
しかし、この強い流れを作る水流の出所は、ほとんどの場合、物理濾過を持つ濾過器
(外部フィルター、上面フィルター、壁掛けフィルターなど)
の吐き出し口であり、出てくる水は濾過処理後の水です。
当然ながら、その流れの本流にはロックシュリンプが掴める程度の大きさの浮遊物は、ほとんど含まれません。
濾過装置は観賞の妨げとなるこれらの浮遊物を効率良く取り除く為のシステムでもありますから当然のことです。
ですから、その周りの飼育水が本流に巻き込まれる事によって、そこにあった浮遊物が手に入る程度となります。
しかしその周りの水にしても、浮遊物が多い事はまず無いでしょう。
普通に考えて頂ければ、流れが強い(概ね循環水量が多いと濾過能力は高い)濾過の効いた飼育水に、
浮遊物が多い状態を維持させるのは、かなり難しいであろう事は容易に想像できるかと思います。
ごく普通に管理された水槽で、ゴミが舞い続けている水など、まず見ることはないでしょう。
逆に云うと、水流は強く出ているのに浮遊物が取れない濾過システムは、まともに機能していない事になります。
現在の濾過機器の性能は極めて優秀なのです。
そこに浮遊物を舞わせる状態を維持するには、想像しがたい工夫と手間が要り、
一般的な飼育システムで行なう、「飼う」という範疇からは掛け離れてしまうでしょう。
「流れが強い」ことと「浮遊物が多い」ことの両立は一般的な飼育システムに於いては困難なのです。
さらに河川の最上流部に生息すると言われる彼等に適する「汚濁から最も遠い綺麗な水」をプラスすると、
この三要素の同時実現には相当な技術と手間が必要となるでしょう。
強い流れを作る循環水量が多い濾過装置を稼動させている水槽に、
ロックシュリンプの餌用の浮遊物を入れたところで、それらはあっという間に物理濾過部分に蓄積され、
ロックシュリンプの口には、ほとんど入らないでしょう。
エビは絶えず食べていると云ってもよい生活スタイルで一日を過ごす生き物ですから、
充実した継続的な餌やりは必須です。
前述した通り、偶然に頼った餌取りをするロックシュリンプに、強い水流に乗せて、この必要量を摂取させる為には、
水槽全体に餌が舞っている状態を維持する必要が生じます。
物理濾過部分に一直線に納まってしまう分と、ロックシュリンプの手に一度も掛からずに舞い続ける分を見越して、
必要とする量を遥かに上回る量の餌を投入することになると思います。
しかし、これでは上流域で暮らす彼等の好む「綺麗な水」はとても維持できません。
ほとんど食べられる事なく物理濾過部分に蓄積された有機物は、溜まる度に取り除きでもしない限り、
腐って水質汚濁を引き起こすのは目に見えています。
これではロックシュリンプに食べさせる為に与えているのか、
濾材を洗いたいが為に投入しているのか分からなくなってしまいます。
餌を絶えずスポイトなどで流し続けられて、濾材を数時間置きくらいで洗浄出来て、
強い水流にモミクチャにされて溶ける餌によって起こる水の腐りを、絶え間ない水換えによって防ぐことが出来て、
大量に無駄となる餌を安く購入できるのであれば、可能かもしれませんが・・・・・・(しかも脅かさずに)。
「ロックシュリンプが掴める程度の大きさの豊富な浮遊物や有機物を含んだ綺麗な水が常に強く流れている環境」
は、広大な自然を背景とした、循環せずに一方向に流れっぱなしの天然の川であるからこそ成り立つ条件であって、
閉鎖された循環系で、この三要素を同時実現させるのは、あまり現実的ではない事が御解かり頂けるかと思います。
2003・08・28 岩
2003・09・02 UP
2003・10・06 一部追記
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