脱皮後の食欲増進にきちんと対応する事が大切
脱皮して数日後のロックシュリンプの食欲は非常に高くなります。
熱帯魚水槽に有ると妄信されている「水中のプランクトンや有機物」ではとても足りないのを、
最も実感する時期だと思います。
確実な方法で一度も給餌した事がない場合には気付かない部分です。(おそろしい(^^;)
この脱皮後の食欲増加はザリガニやテナガエビとも同じ、エビの顕著な共通点です。
エビの食事量の周期は、脱皮後に物凄い食欲で食べ続け、
それが普通の食欲になり、やがて、あまり食べなくなり、完全に絶食、
そして体調不良を疑う頃にポンと脱皮、というものです。
脱皮を境に「絶食」と「飽食」という極端な面を持ちます。
これは中腸腺(エビみそ)への栄養の貯蔵量との関係があるものと思います。
中腸腺の大きさは、脱皮前までにどんどん大きくなり、脱皮すると同時に使い果たすそうです。
使い果たしたものを一気に取り戻す。
これを表わす行動が、脱皮後の大幅な食欲増進だと思われます。

ソイルが明らかに食事の邪魔ですね。
手前の赤いエビ達もかなり食べてしまいます。
これはソイルを敷くとどれだけ脱皮周期や抱卵に支障が有るのかを実験中なだけですので、
真似しない方が良いです。
角のソイルをどけて、やや多めに与えてあるので、大きな問題にはなっていませんが、
不器用なのに大食らいなロックシュリンプはベアタンク飼育がBESTです。
この脱皮後の食欲にきちんと応えておくと、脱皮での体力消耗が速やかに解消されるようです。
どうしても、底床に何か敷かないと気が済まないという場合も、底床は一層にし、
必ず角の餌場の砂利は取り除いておいてあげます。
そうしないと、餌を崩して隙間に掃き込む作業になってしまいます。(水質悪化と無給餌になるだけ)
特に、脱皮後の数日間は重要な作業です。
※混泳させるエビも小卵型のみにする、大卵型の場合は雄だけ・雌だけにすると殖えずに良いと思います。
※ロックシュリンプは大食漢であるからと知り、一般的熱帯魚飼育水槽セットのままで、
餌だけを多く与えるという行為は、極端に濾材や底砂を汚染する事になるので御法度です。
餌の与え過ぎで水を腐らせる事ほど恐ろしいものはないので注意して下さい。
餌に極力水流を当てない、餌を舞わせない、表面から徐々に崩れる餌である、底砂に餌のクズを溜めない、
これらは水質維持に負担を掛けずに、長時間に渡って給餌をするぎりぎりの折衝の上に有ります。
餌と水が触れる率を抑え、なおかつ長時間置いても食事が続行でき、
残らずロックシュリンプに食べてもらえる方法です。
細〜い細〜い綱渡りのようなものなので、少しでも揺れるとすぐ踏み外します。

ロックシュリンプと同じく、高水温に強いレッドチェリー。
ロックシュリンプ用の置き餌を食べて増え過ぎ状態。
増え過ぎに注意すれば相性は良いです。
巷のロックシュリンプの説明は、元々“妄信”から来る“栄養失調”を基礎に語られています。
情報の全てが、食事をまともに与えられていない飢餓状態の姿でしかありません。
栄養状態の極めて悪い姿を見て、そのエビの特徴として語っているという信じ難い状態です。
商品化されるに当たっての、強引な宣伝や説明がそのまま続いている事が原因のようです。
⇒【ロックシュリンプの長期飼育は難しい?】
×高水温に弱い
×水質悪化に弱い
などというのは個人的には完全にナンセンスで、
死亡原因からの言い逃れ用、切り札用と云ってもよい部分です。
一種の言い訳として温存されている程度のものと思います。⇒【ロックシュリンプは高水温に弱い?】
×脱皮の回数が少ない
これも、体が成長していないという事と、
生理的な甲羅の更新をぎりぎりまで伸ばしている状態であると判断できます。
甲羅に包まれている生き物なので、脱皮周期は非常に重要な健康の指標になります。
雄の成体でも二ヶ月に一回。雌の場合は抱卵周期と同一です(1ヶ月以下)。
いくら栄養状態を良くしてもこれ以下に縮まる事はないようです。
×脱皮を失敗して死に易い
×脱皮した後に死ぬ事が多い
といったニュアンスの情報も多く見掛けますが、これもまず有り得ません。
ロックシュリンプの脱皮は数百回経験していることになりますが、
その中で脱皮に失敗して死んだ例は一回もありません。
極めて脱皮は上手な生き物だと判断できます。
南米ロックが脱皮の失敗で手を四本とも失った事が一回のみあります。
しかし、それも死ぬほどの失敗ではありませんでした。
貴重な体験と克服方法を与えてもらえました。⇒【手が全部取れてしまった場合】
こうした経験からも、脱皮の失敗で死ぬことはまずないと云えると思います。
高水温にも驚くほど強く、少々の水質悪化には耐えますし、
脱皮の失敗はほぼ無いです。寿命も困るほど長い。
そんじょそこらのエビよりは遥かに丈夫、というのが実体でしょう。
巷のロックシュリンプ情報は、食べものを与えない飢餓状態の生き物の経過を観察して、
「病気に罹り易い生き物だ」、「死に易い生き物だ」と云っているようなものです。
まともに食事を摂らせてもらっていない生き物は死に易いです。
これは人間でも一緒です。当たり前ですね。

約5年半に及ぶ飼育で、40〜50回以上は脱皮しているはずの雌個体。
明るい所が嫌いな彼女ですが、この脱皮後数日間は、
明るい事や撮影のフラッシュにもあまり臆せずに食事を続けます。
食欲が警戒より勝っているのでしょう。
雌は体が小さいので、まだましで、
雄の場合は、自動給餌機でもセットしたいくらいの食欲です。
要求に応え切れないのが現状です。雄の場合⇒【腕を再生中の雄2】
脱皮数日前まで良く食べていて体力を保てている個体でさえ、
脱皮後数日間の食欲は、このように異常に高いわけですから、
いかに脱皮で体力を消耗するかが解かります。
満足に食べられていなかった個体だった場合には、
この時期に限度を割り込んで死に至る可能性が高いのは当然と判断できます。
脱皮中に死ぬ、脱皮後に死ぬという「からくり」は、
妄信から来る、生き物を飼う上での最も根源的な原因が主でしょう。
たとえ無事に脱皮は済んでも、回復の見込みが無い給餌環境では、必然とも考えられます。
エビの生活周期の中で、最もエネルギーを消費する時期に死亡しているだけで、
原因は「脱皮に失敗し易い生き物だから」ではありません。
きちんと良く食べて、体力を高く保てている個体に関しては、
脱皮の失敗はほとんど考える必要は無いと思います。
世の中の脱皮失敗の原因は“栄養不良”。ただそれだけでしょう。
購入から全く脱皮をしなかった個体がはじめて脱皮をし、
その直後に死亡するというパターンが多い印象です。
“きっと微生物を食べているはず”という妄信によって、
全く栄養補給が出来ていないところに、
甲羅の劣化が限界に達し、生理的な脱皮の必要が迫り、
脱皮を実行したが、途中で体力が続かず、脱ぎ切れずに死亡。
あるいは脱皮までは完了したが、完全に体力を消耗し尽くして死亡。
といった印象です。
脱皮時に分泌されると思われる“剥離液”のようなヌルヌルの液体が、
栄養不良の為に、必要な量が作られていない可能性もあります。
心臓が弱っていれば、心拍数を維持できない、
あるいは呼吸時の鰓への送水を維持できないなどなど、
体力が続かない事による、体中の器官の様々なトラブルが想像できます。
一般的な飼育下のロックシュリンプは、水流にしがみついてしまっているので、
実は餌の必要量が多い生き物だという事を知られるきっかけすらありません。
当然、餌を欲しがる周期があることが知られる事もない訳です。
これは、流れを絶ち、ベアタンクにして給餌する事で初めて解かるものです。
「霞を食べる仙人」どころか、「大食いタレント」に近い存在なのですが、
一度も確実な給餌を行なった事がない場合には、全く気付くことがありません。
場合によっては「餌は要らない」という領域にまで達しているのですからスゴ過ぎです(^^;。
これほど餌を欲するし、食べる事が大好きな生き物に餌を与えないのですから、
知っている側からすると信じ難い水準のオソロシイ話ですが、気付くチャンスがないのでしょう。
しかも全世界レベルでそういう事になっていますからすごい数です。(慰霊碑や鎮魂碑が必要な気がする)
それだけ多くの人類が、川の流れと水槽の濾過機から出る水流には同じ量の餌が含まれていると思っている、
あるいはロックシュリンプにだけ、生物という域を越えた特殊な代謝能力が備わっている、
と思っているのかもしれません。

ヤマトヌマエビの毛束。
ヌマエビ類のお手々の先は、どの種もほぼ共通の構造。
肉眼でもよく見える大きさであるために、
ロックシュリンプだけが特殊なのだと思い込まされている節がありますが、
ヌマエビ好きにしてみれば、御馴染みの構造です。
ロックシュリンプはこの毛が長すぎるので、
水槽内では餌にありつけない事に成りやすいです。
そこに注意を払ってあげるというだけです。

シナヌマエビ類(市販名ミナミヌマエビ)の毛束。
意外と長い毛が生えています。

ヌカエビの毛束。
短い毛がびっしり。

ミゾレヌマエビの毛束。
毛の長さに驚きます。
間隔も広い。
この構造では流れから餌は摂れません。
ロックシュリンプは、ただの、普通の、大きなヌマエビ類。
しかも、極端にぶきっちょ。
そして、ぶきっちょなのに大食らいなエビです。
この腹の減らし具合から逆算して考えるだけでも、
とてもオカルトまがいの期待に応えられる能力は持っていないのは簡単に分かります。
食欲の周期をきちんと知って、きちんと与える。
特に脱皮後を中心に、しっかり確実に食べてもらうことが大切です。
2009/04/10 岩