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「スジエビ」の範囲


スジエビの見分け方として、
「透明で、腰が曲がっていて、眼が飛び出している」という基準が使われる事が多いようです。
この基準だとかなり多くの種類が「スジエビ」の範囲に入り、
実際に多くの他種がスジエビとして飼われているようです。
淡水エビの世界は、「模様は参考にならない・額角を見ないと識別出来ない」という巨大な因習に覆われているので、
スジエビという名のエビですら、模様を見る事を全くしないという奇習に翻弄されています。

●凶暴なタイプ

テナガエビ(テナガエビ科テナガエビ属)
ヌマエビ類やスジエビ、仲間ですら脱皮時に食べてしまいます。


ミナミテナガエビ(テナガエビ科テナガエビ属)
テナガエビをより強力にしたようなエビ。
頭が良くて、そつが無く、狩りも上手い。


ヒラテテナガエビ(テナガエビ科テナガエビ属)
大人の風貌は極めて独特ですが、子エビはスジエビそっくり。
それほど狩りは好まない印象。
ヤマトテナガエビと呼ばれる事も多い。


●普通のスジエビ

スジエビ(テナガエビ科スジエビ属)
テナガエビ3種をタカやワシなどの猛禽にたとえるなら、スジエビはカラス
カラスがハトくらいなら狩る事が出来るのと同様、
小さめの同居魚やヌマエビ類には油断のならない種類です。


鼻先のヒゲが白い場合も多いので、見分けの参考に使うと便利。
スジエビは大きくなった雌個体の食欲が急速に増え、
自分以外の生き物の肉を自分の卵に変える「産む機械」と化します。
一回の脱皮で突然変身します。
脱皮前までは混泳出来ていた相手が、脱皮後には餌になります。
魚の尾が裂かれていたり、脱皮後のヌマエビ類が変死する事が増えたら、
混泳には限界の時期。


色が薄い場合も、模様が消えきる事は無いと思います。
スジエビは沖縄などを除いたほぼ日本全土に分布しますし、
多くが淡水繁殖の陸封個体群であることから、性格や最大体長などが一律とは思えません。
上流域群と下流域群が遺伝子的に別種である事が確認された個体群もあるようです。
しかし、模様に関しては別種を感じるほどの例を見た事がありません。
透明度や腰の曲がり具合を見るよりは、模様を見たほうが余程役に立ちます。
眼の離れ具合は極端なので、これは有効です。(ヌカエビとの混同には注意
「模様」+「離れ眼」でまず大丈夫だと思います。

ヌカエビと並ぶ出目具合。
ただ、「他種と比べれば」という前提が有っての出眼度です。
淡水エビは、全てのエビの眼が、体表面よりも飛び出して付いています。(ヤマトヌマエビですら

観賞魚店では、“スジエビ”という販売名の得体の知れないエビも多いです。
近隣の外国の近縁種のような印象です。
ハサミ脚が短くひ弱な印象を持つ個体を選んである感じもします。
それらは睡蓮鉢等で簡単に殖えてしまう大卵型の繁殖形態を持つようです。
釣り餌として売っているエビの中にも日本では見ない不思議なエビが多数入っています。


●おとなしいタイプ

ヌマエビ科のエビ達の多くも「スジエビ」として飼われる事がままあるようです。
「小魚に全く興味が無く、コケをツマツマとよく食べる、おとなしいスジエビ」という認識にあるようです。
スジエビはおとなしく、混泳推奨種だといった勢力は意外な大きさです。
本当にスジエビだったとした場合、たまたま大人しい個体群を飼っている、幼齢な小さな個体である、
雄の個体である(雄は案外おとなしい)などが考えられます。
しかし、「透明で、眼が飛び出していて、腰がボコッと盛り上がっている」という基準で、
多くのヌマエビ類がスジエビと誤認されて飼われている可能性のほうが大きい気がします。
これらが「スジエビはおとなしい」という誤認の元になっている可能性が高そうです。


ミゾレヌマエビ(ヌマエビ科ヒメヌマエビ属)
カメラのフラッシュで体内が白っぽく写ってしまっていますが、
実物を肉眼で見た場合には、
透明なガラス細工の中に、内臓だけが浮いている印象です。


ミゾレヌマエビ。
透明で、眼が出っ張っていて、腰も出っ張っています。


「逆さハの字」まで共通。
ミゾレヌマエビ(特に雄)がスジエビと間違われるのは定番中の定番。
透明で、眼が飛び出していて、腰が出っ張っているエビなら、
個人的には、真っ先にミゾレヌマエビが浮かびます。
スジエビは、これに比べれば、さほど透明とは思えません。


旧ヌカエビ及び旧ヌマエビ大卵型(ヌマエビ北部−中部群)ヌマエビ科ヌマエビ属
ヌカエビの雄もかなりな「スジエビ度」を持つエビです。
小さいですし、スジも違いますから、
両種を良く知って居る方なら間違い様はないと思いますが、
これだけを前述の基準で見れば「スジエビ」でしょう。


眼も出っ張っているので、間違われる率は極めて高いです。
“ヌカエビ”とはスジエビの別名だと思われている場合もあります。
当然、「ヌカエビは肉食で魚を襲う」という誤解も多い。


旧ヌマエビ(ヌマエビ南部群)ヌマエビ科ヌマエビ属
“ミゾレヌマエビ”という販売名で有名なエビ。
観賞魚的な場合、スジエビとヌマエビ南部群は“ミゾレヌマエビ”として同種扱いの場合も。


シナヌマエビの仲間(ヌマエビ科カワリヌマエビ属)
商品名“ミナミヌマエビ”として、多くの種類が輸入販売されているようです。
実物ならまず有り得ないと思いますが、
写真になると意外とスジエビにされてしまう“ミナミヌマエビ”。
ヌマエビ科の中で、
ヤマトヌマエビ、ヒメヌマエビ、トゲナシヌマエビ以外は、全部「スジエビ」に該当してしまいます。
テナガエビ3種の子供も含め、ほぼ全てのエビが「スジエビ」という範囲に入る呆れた基準が許されてしまう世界。
脆弱さを生む因習の根深さや罪深さを痛感すると共に、関心の浅さ、層の薄さもしみじみ感じます。


●海の「スジエビ」


スジエビモドキ
性格はスジエビそのもの。
隙あらば、どんなものでも襲って食べます。

イソスジエビ、ユビナガスジエビ、アシナガスジエビ、シラタエビなどなど、
汽水から海水にかけて、いろいろなスジエビ風のエビが居る様です。
http://rs-yayoi.com/osakanakan/zukan/shrimpcrub/shrimptop.htm
【番匠おさかな館の図鑑・エビ】

2009/05/26


2009/05/28 更新


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