[エビ飼育あれこれの目次へ]


ミナミヌマエビの分布


ミナミヌマエビの生息地域

本来は生息していないはずの関東地方からも“ミナミヌマエビ”の採集報告があるという昨今ですが、
(たぶん、その大多数は中国・台湾・韓国産あたりの“シナヌマエビ類”が占めていると思います)
狭義のミナミヌマエビ(日本在来の本物ミナミヌマエビNeocaridina denticulata denticulata)一種の、
自然分布の北限あるいは東限といったものはどうなっているのか、
そのあたりを調べてみました。

 

ミナミヌマエビの自然分布の境界線
http://www.lberi.jp/root/jp/05seika/omia/80/bkjhOmia80.htm
よくミナミヌマエビの分布は省略されて「本州中部以南」「西日本」などと記されますが、
ここには“静岡県(焼津)および琵琶湖から鹿児島県”と具体的な地名があがっています。


焼津と関東、そして、広義の“ミナミヌマエビ”の報告が多い
多摩川(タマゾン川)との位置関係は、こんな感じです。
焼津は日本坂トンネルの部分が、山が海に直接そびえているといった状態。
道路地図でも見ていただければ、全ての交通がここに集中しているのが分かります。
つまり、陸路を歩けないエビが越えられない陸の壁。
ここが南方系のミナミヌマエビの東限であることは、
地図を見ると納得できます。
伊豆半島が日本を押し上げて富士山を作るほどの山岳地帯の部分も、
まず越えられないでしょう。
箱根の山を越えるのには程遠いです。
参照⇒【ミナミヌマエビの東限が焼津な謎
なぜ、焼津なのか?焼津の何が北進を阻んでいるのかが解かります。


“フォッサマグナ”と呼ばれる縁の溝の中には生息しないようです。
焼津の瀬戸川にはミナミヌマエビは生息するようです。
日本坂トンネルを抜けた北側の安倍川には居ないのではないかと予想できます。
当然、富士川には達していないと思います。

http://www.lberi.jp/root/jp/05seika/omia/80/images/omia80org-fig4.jpg
この地図を見ると、愛知、滋賀、三重、大阪に、
分布を示す色分けがされていないのが気になります。
この四府県に居ないとは思えませんが、なんででしょう?

※意外な事に、90年間以上も琵琶湖にミナミヌマエビは確認されていないのだとか。

 

立体地図で納得する

http://www.trust-system.co.jp/calendar2005.jpg立体地図と地形模型の販売店
こういう立体地図を見てしまうと、地名だけの薄っぺらな地図が見れなくなってしまいます。
上から見ただけの普通の地図ではとても得られない好奇心が湧いてきます。
ミナミヌマエビの分布域“静岡県(焼津)および琵琶湖から鹿児島県”と地名だけ記されても
なぜそういう分布なのか、ぜんぜん具体的な像は浮かばないと思いますが、
こういう立体地図だとすぐに把握できること間違いなしです。

ここ↓の「中部地方」を見させて頂くと非常に分かり易いと思いますので、ぜひ。
http://www.trust-system.co.jp/japancalender.htm
「中部地方」の写真の中、
右下の「神奈川」と書いてある海の左にひょろっと出っ張っているのが伊豆半島。
そこから左、駿河湾をはさんだ対岸に赤い印があるのが「静岡」。
焼津」はそのすぐ下です。
海に沿って左に行くと、浜名湖、渥美半島。その奥の平野が濃尾平野(名古屋、岐阜)です。
その濃尾平野の左、山脈と山脈の間に狭い隙間があるあたりが「関ヶ原」。
(徳川家康と石田三成の東西両軍がなぜここで戦ったのかも、こういう立体地図だと良く分かります)
その関ヶ原を通った向こうに見える水たまりが琵琶湖です。

これを見れば「本州中部以南」と云われる意味が、具体的な像として把握できるものと思います。
さすが立体は納得度が違います。

 

関ヶ原は越えたものの

関ヶ原を越え、海沿いに焼津まで進んだが、立ちはだかる中部山岳地帯の峰々でストップ。

ミナミヌマエビの自然分布は「関ヶ原は越えてみたものの・・・」で良さそうです。
西軍ミナミヌマエビ達は、関ヶ原を越えて、濃尾平野、
低地の海沿いに焼津まで進軍し、生息域を広めたのですが、その先は崖と海しかないので行軍がストップ。
伊豆半島の根元にある大きな山は「富士山」ですから、その先の箱根越えなど遠く及ばずに断念、
関東・東北への進出は不可能だった・・・という事になるかと思います。

※あくまで、ミナミヌマエビ(本物)の自然分布域の北限を分かり易く憶えるための表記ですから、
日本列島のなりたちや、山岳地帯がいつ出来たのか、
いつどこからミナミヌマエビが日本に入ったのか等の時代考証はしていません。
現在の地形から見た“おはなし”です。
(現在、海で隔てられた九州や四国にも居る理由を、そのあたりから探ってみても面白いかも)

【参照】⇒幻?の大卵型ヌマエビ
ヌマエビ、ヌカエビの分布を分けているのも、この中部地方の山岳地帯だと思います。
ただ小卵型のヌマエビは、幼生が海からのルートで関東南部に侵入しています。
※そんな関東南岸ならヌカとヌマの雑種が出来ても良さそうですが、
聞いたことがないのは、完全に別種として混生しているということなのだろうか・・・

追記(2006/10/29)
ミナミヌマエビの分布図

諸々の情報を総じて作ってみました。
詳細な生息地図ではありません。
まあ、大体の雰囲気だけでも。
(鳥取県にも昔から生息していたという情報を戴きました追記2007・05・26

 

いろいろ参考資料

関ヶ原町観光協会
http://www.kanko-sekigahara.jp/kankou.htm
山だらけ。
水槽のすぐ下で干乾びてしまっているエビに陸路は不可能。
飛び跳ねて数cm下山することはあっても、登山はないでしょう。
ミナミヌマエビは上流には居ないエビだそうですから、
こういう山を越えていく、つまり出来るだけ上流に登るということ自体もないでしょう。

関ヶ原の地図
http://mapbrowse.gsi.go.jp/airphoto/hyouteizu/5336/hyouteizu_533603_CCB961X.html
ここだけが低地。まわりは山々山。
http://audax-saitama.org/ichinomiya1000/brm1000.html
右下の詳細マップで拡大地図が見れます。(一個目、二個目あたり)
人も電車も、川もエビも、関ヶ原を通るしかないので、
道路や鉄道が密集して大変な事になっています。
遠い昔、河川の自然な氾濫によって川同士が繋がった時に、
ミナミヌマエビもここを通って行ったのかも。

合戦屏風
http://www.sengoku-expo.net/art/J/02.html
http://www.sengoku-expo.net/
立体地図を見ながら歴史の勉強をしたら、きっと数倍楽しかったでしょう。

濃尾平野
http://www.cbr.mlit.go.jp/kisokaryu/chisui/01noubi.html
http://www.ne.jp/asahi/hayashi/love/owari14.htm
濃尾平野が非常に変遷の激しい土地だったことが良く分かります。
巨大淡水湖だったり、海だったり、そして洪水、氾濫が頻繁に起こる世界。

フォッサ・マグナの基礎知識
http://www.city.itoigawa.niigata.jp/fmm/outline-menu/02outline-fm/02fossamagna.html
フォッサマグナとエビの生息区分は密接な関係がありそうです。
ヌカエビとヌマエビは概ねこれで分けられているような。。。。
多くのエビの分布「本州中部以南」という表記もこれの影響なのではと思ってしまいます。

フォッサ・マグナ
http://www3.cnet.ne.jp/pas31225og/FosMagna.htm
糸魚川-静岡構造線は、ちょうど「焼津」付近に入っています。

プレート
http://www.zenchiren.or.jp/tikei/zeijaku.htm
伊豆半島が思いっきり本州を押し続けて富士山ができ、
これがミナミヌマエビの北上を阻んでいる可能性も。
プレートはエビに影響するだけではなくて、
インドがアジアを押し上げてヒマラヤ山脈ができ、
そのヒマラヤからの乾いた風が、熱帯林だったアフリカを砂漠化させ、
アフリカに居た人間の祖先が木から降りざるを得なくなり、人間が生まれたらしいです。
つまりプレートの動きが人間を生んだんですね。
プレートのする仕事はスケールが大き過ぎ(^^;

地震と火山
http://www.kishou.go.jp/know/whitep/2-1.html

日本と周辺の海底地図
http://www.hp1039.jishin.go.jp/eqchr/f2-7.htm

日本列島誕生
http://www.city.itoigawa.niigata.jp/fmm/index-detail1.html#detailmenu-top(404)
どの時代にミナミヌマエビが渡って来たのか想像してみるのもおもしろいかも。
中部より北が海に没していた時代もあるんですね。
※隆起途中ならじゅうぶん広がれたはずなので、それ以降に日本列島に入ったのか?

日本列島の形成
http://npo-eco-m.hp.infoseek.co.jp/fails/data_2002/story/story.htm

日本列島の成立
http://www.lbm.go.jp/satoguti/geology/geoseminor5th.html
中部山岳地帯の生成は第四紀に入ってから。

第四紀とは・・・
http://wwwsoc.nii.ac.jp/qr/QRdefin.htm

 

2006/05/09


日本産淡水エビの分布図(おおまかなイメージ)や新しい情報などはこちら


2008・11・21 フォッサマグナの図などを追加

 


[エビ飼育あれこれの目次へ]